Polaris
だけど、私が隠したはずの感情は、イツキには簡単に読み取られてしまった。
《何もないことないでしょ。だって、俺がどんなにバカなこととかムカつくこと言ったって、ああだこうだ言いつつも返事だけは必ず返してくれてたキョンキョンが俺のメール無視すんだもん。何もないわけない。まぁ、キョンキョンの事だから一人で重たい荷物背負いこんでるんでしょ? どうしたの? 俺でよければ話聞くから。話して》
イツキからの長文メールを読み終えた私の目からは、こらえ切れず涙が溢れていた。
「何よ……何も、知らないくせにっ……ばか」
ぐっとカーディガンの袖で涙を拭った。だけど、次々と溢れてくる涙。だんだんと、イツキからのメールが滲んでいく。
……もう。ムカつく。ムカつく。
私のことなんて何も知らないはずなのに、全部、全部、見透かされてしまっているみたいで腹が立った。
いつも、ふざけてて、ノリも軽くて、調子乗りなイツキ。
だけど、いざという時、こうしてひどく優しくしてくれる。これだから彼は、残酷だ。