Polaris
『間違ってることを、ちゃんと間違ってるよって言ってあげること。それって、意外と難しい事だよね。もし、それを言って嫌われたらどうしよう。批判されたらどうしよう、って考えちゃうから。でも、キョンキョンはそれをしてるわけでしょ? それが、例えキョンキョン自身を不利な立場にしているとしても』
低くて、心地の良いトーン。優しい口調で話してくれる彼の声を、私はもうすでに受け入れられていた。
イツキって、こんな声で、こんな風に話すんだ。これは、メッセージでやり取りしているだけでは、分からなかったイツキ。私の想像出来なかった、新しいイツキだ。
『ただ、この世界には間違っていることを指摘されて、素直に受け止められる人と、そうじゃない人がいる。だからこそこうして悩んでるんだと思う。だけど、いつか、きっと、その子も素直に受け止められる日が来るよ。ああ、あの時唯川さんにああ言われておいて良かったな、って思うはずだよ。絶対に』
ねぇ、俺はキョンキョンの味方だよ。
そう付け足したイツキの言葉で、私の頬に一筋の涙が流れた。
それは、一筋だけでは止まらず、次々と流れてくる。もう止まらないんじゃ、というほどに流れ続けている。