Polaris
「うう。もう……なんなのよ」
いつもノリが軽くて、調子が良くて、ふざけてくる。でも、本当は誰よりも優しくて、誰よりも他人思いな人……だと思う。
『あっれー? キョンキョンが泣いてる』
「な、泣いてない!」
『えー? 嘘だー。泣いてるでしょー?』
「バカ!うるさい!泣いてない!」
『ははは。はいはーい、分かったよ。泣いてないって事にしておきまーす』
笑いながらそう言ったイツキに、私はムッとした。
ああ、やっぱり、ムカつく。ムカつく人だ。優しいなんて一瞬でも思った私がバカだった。
『あ。ねぇ、キョンキョン』
「……なによ」
『キョンキョン、思ったより声可愛いね。結構タイプ』
「はっ⁉︎ な、何言っ……!」
『〝声が〟だよー? 勘違いしちゃった? 本当可愛いんだからさぁ、キョンキョンは』
「は……はあ⁉︎ なんなの本当!別に勘違いなんかしてないんだから!うるさいイツキ!黙って!」