Polaris

その時は、本当に登録するつもりなんてなかった。だけど、その数日後。一人で休日を過ごし、とても暇だった私は思いつきでそのサイトに登録してしまった。

自分の名前や、ユーザー名、それから、自己紹介を書くための空欄。私は、それを順に埋めていった。

名前は『京子』と打った。そして、自己紹介文は『小さな出版社で働いています。宜しくお願いします』という何の可愛気もないシンプルすぎる文。

こんな文じゃあ『宜しくお願いします』と書いたって、誰も相手になんてしてくれやしないだろう。

そう思っていたから、私はそんなに気構えることもなくそのサイトを閉じた。しばらくすれば、そのサイトに登録したことすらも忘れていた。

本当に登録したキッカケは、そんな程度の気まぐれだった。


SNSに登録した数日後。

私の携帯に一通のメールがやって来た。それは、登録したSNSサイトにメッセージが来たという通知メール。


私は、とりあえずメールに載せられていたURLからサイトに飛び、メッセージを確認した。

< 4 / 202 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop