Polaris
メッセージの差出人は〝イツキ〟という知らない男性からだった。
本当に、どこの誰かも知らない人と繋がることができるんだ……なんて思いながらメッセージの内容に目を通した私は、メッセージを読み終わると眉間に皺を寄せた。
《こんにちは。僕は、イツキっていいます。よろしく。 早速なんだけど、京子ちゃんの働いてる出版社ってどこか聞いてもいい? あ、ちなみに僕はただのサラリーマンです!》
最後の最後にニコちゃんマークのような絵文字がついた、なんとも言えない軽い文章。
文章の見た目だけでなく、内容も気に入らない。
だって、いきなり〝京子ちゃん〟なんて呼ぶし、私の働いてる出版社を聞いてくるし……とても一通目のメッセージとは思えない内容だ。
ああ、もう。絶対にふざけてる。調子乗ってんじゃないわよ。
仕事で溜まっていたストレスもあってか、私はこの〝イツキ〟という男性に腹が立って仕方がなかった。
日頃の鬱憤と、怒りをぶつけるかのように、携帯のボタンをカチカチと力強く打っていく。
そして、出来上がったメッセージを確認する事もなく送信してしまった。