Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
『総長!!』
突然、ドンドンと荒々しく叩かれた幹部室の扉。
十夜と河上は何事かと驚き、直ぐに扉に目をやった。
『総長!失礼します!!』
すると、十夜達が返事をする前に開いた扉。
そこから入ってきたのは一人の下っ端らしき男。
『男が、男が一人乗り込んできました!!』
男は姿を見せたかと思うと、息を切らしながら階下を指差し、そう叫ぶ。
余りの慌てように十夜と河上は訝しげに顔を歪ませ、視線を合わせた。
『どこのチームの者だ?』
只ならぬ事態だと察したのか、スゥと細め、男を睨み付ける十夜。
一瞬にして“黒皇”の姿に変貌した十夜に、下っ端の顔がサァと青褪めていく。
『あ、あの……』
凄みのある十夜の視線に、一歩二歩と後ろへ下がる男。
『あの、その、下に……』
何かを発しようと必死に口を開け閉めしているが、その口からは何一つ肝心な事が発せられていない。
『──河上。行くぞ』
痺れを切らせた十夜は男が返答する前に河上を呼び、歩き出した。
入り口に立っていた男は身体を震わせながら十夜に道を譲り、十夜はそんな男に目もくれず部屋から去る。
そして、廊下に出た十夜が目にしたもの。
それは──
──あの男、何者だ?
未だかつて見た事がない“光景”だった。
十夜の視界に映っているのは数十人もの男達を凄まじい速さで薙ぎ倒していく一人の男の姿。
男から繰り出される多彩な技の数々と無駄のない俊敏な動きは最早見事としか言えない。
『桐谷、さん……?』
一点を見つめたまま動こうとしない十夜に河上が訝しげに呼び掛けた。
だが、それでも十夜は乗り込んできた男から目を離そうとはしない。
敵にも関わらず“鳳皇総長”が興味を抱いた男。
その人物は“獅鷹総長”の妹、リン───いや、東條 凛音だった。
これが“リン”に変装した凛音と“鳳皇総長”である十夜の初めての出逢い。
否、“運命の出逢い”だった。