Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
十夜が“リン”を見た時から遡ること数分前。
繁華街で見付けた男達をタクシーで追い掛けて来た凛音は、“白狼”の倉庫前にある古びたビルとビルの間に身を潜めていた。
当然凛音は自分が何処に居るのか知る筈もなく、凛音が知っていたのはタクシーの運転手から聞いた“暴走族のアジト”だという事だけ。
それを教えてくれたタクシーの運転手は面倒なことには関わりたくないとでも言う様に早々と立ち去り、凛音を倉庫前に放置。
敵地の前に一人放り出された凛音は直ぐ様ビルとビルの間に隠れ、様子を窺った。
一人になった凛音。
だが、凛音からは恐怖心など一切感じられず、どちらかと言えば奴等が暴走族の一員だと知って憤りを感じている様に見える。
それは、凛音が遊大は“獅鷹の幹部”だから狙われたのだと思い込んでいるから。
だけど、実際はそうじゃない。
遊大は“たまたま”男達と出会い、その時イライラしていた男に喧嘩を吹っ掛けられたのだ。
遊大はただ“運が悪かった”だけ。
けれど、その事実を知らない凛音は暴走族のアジトだと知って獅鷹の“敵”だと思い込んでしまっていた。
普段の凛音ならアジトを突き止めたらすぐにでも乗り込んでいただろう。
けれど、それをせずに静かに身を潜めていたのは、もうすぐ直弥が此処へ来ると分かっていたから。