Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
「十夜……」
叫びたいけど叫べない。
十夜の元へ駆け出したいけど駆け出せない。
十夜を見たいのに見られない。
唇が震えて、
足の力が抜けて、
涙が溢れて、
十夜が……見えない。
「十夜……」
動けないなら、せめて十夜の顔だけでも見たい。
そう思って手の甲で涙を拭うけど、ハッキリ見えたと思ったらまた涙が溢れて、
その度何度も拭って。
「っ、」
その繰り返しでキリがない。
「と──」
「助かった気でいんじゃねぇよ。クソ女」
「シ……ンッ、」
「凛音!!」
首に回された腕に無理やり引き上げられて首が絞まる。
身長差があるせいか上手く足を踏ん張れなくて。中途半端な体勢のままズルズルと引き摺られていく。
「凛音!!」
「来んじゃねぇよ!!」
折角再会出来たのにまた引き離されるなんて……。
それが嫌でどうにかしてその場に止まろうとするけれど、こんな体勢じゃ腕から抜け出す事も出来なくて。
「……ゃ、ぁ」
後退する度首を絞められて、声を出すのもままならない。
薄っすらと目を開ければ、後退するシンに合わせて前進している十夜達の姿が見えた。
その後ろには鳳皇メンバーに支えられている優音と遊大の姿があって、良かった、と、こんな状況にも関わらず安堵した。
あとは、あたしがこの腕から抜け出せば全てが終わるのに……。
そう思った時、頭上から「クソッ!」と舌打ち混じりの声が落ちてきた。
かと思ったら、フッ首の締め付けが緩んで、そこで漸く爪先が地面に着いた。
どうして止まったのかと思ったけど、考えてみれば直ぐ解る事で。
あのまま後退したという事は、海ギリギリの所まで迫ったという事なんだろう。その証拠に、さっきよりもだいぶ潮の香りが強くなってる気がする。
……という事は、
「──凛音に手出してタダで済むと思うなよ」
これでゲームオーバーという事だ。