Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
絶対に逃げ出してやる。
そう意気込んだ時、十夜の隣に居た煌が徐に前へと一歩出た。
かと思ったら、シンに向かって中指を立て、
「鳳皇か凛音かって?んなのどっちもに決まってんだろーが、バーカ!」
子供の喧嘩のような軽い口調でそう言い放った。
え?と思ったのはきっとあたしだけじゃない筈。
だって、幹部達以外のメンバー達もみんなポカンとしてるし。
そりゃそうだよね。こんな一触即発な空気の中でそんな軽い口調が出てきたら誰だって驚くに決まってる。
陽が言うのならまだしも、煌が言ったから余計に。
「……テメェ、喧嘩売ってんのか?」
明らかに怒っているその声は喧嘩を売られたシンのもので。
喧嘩を売られたのだから当たり前なんだろうけど、何だろうこの感じ。凄く嫌な予感がする。
そう思った時、
「なら買ってやるよ」
その言葉とほぼ同時に、今まで苦しいぐらいに締め付けられていた身体が突然解放された。
かと思ったら、右腹部を襲った強い衝撃。
「……ぁ、っ、」
一瞬にして全身の力が抜け落ち、何があったのか理解出来ないまま崩れる様に膝から倒れる。
「凛音!!」
「凛音ちゃん!!」
「りっちゃん!!」
「凛音さん!!」
「リン!!」
ビクンビクンと意思とは関係なく波打つ身体。
遠くの方でみんなの声が聞こえるけどそれに応える力は無く。みんなの声どころかその姿さえ目の前がチカチカして見えない。
「テメェ!殺してやる!!」
「来んじゃねぇ!!もう一発食らわせんぞ!!」
まだ痺れているあたしの身体を乱暴に引き寄せるシン。それさえも今のあたしにはツラくて、少し触れられただけで苦痛で顔が歪む。