Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
「っ」
耳元でそんな事言われたら素直に従うしかなくて、
「分かった」
そう返事して、首に巻き付いている十夜の腕をきゅっと両手で握り締めた。
「──先に言っとく。噛むなよ」
「え?……っ、」
その言葉を理解する前に首筋に何かが触れて、ビクッと肩が揺れた。
あまりにも突然過ぎたそれに、あたしは目を見開いたまま固まってしまう。
そんなあたしを追い詰めるように、首筋に触れているそれは下へ下へと移動していく。
「十夜、ちょっと待……っ」
流石にストップをかけずにはいられなくて、掴んでいた手に力を込めながらキュッと強く目を閉じると、聞き取れないぐらい小さな声が室内に甘く響いた。
「これぐらい許せ」
「……え?」
不意に届いたリップ音。
その音にそっと目を開けると、首筋にさっきの感触はもう無くて。その代わりに耳に柔らかな吐息が触れた。
「いい加減、頭の中俺だけにしろよ」