俺様黒王子とニセ恋!?契約
それでもそんな自分を押し隠して、私は篤樹に背を向けた。


だって、強くなるって決めた。
このプロジェクトを遣り切って成功させれば、きっと篤樹にも伝わる。


私に『似ていた』かもしれない篤樹の彼女。
でも私はもっともっと強いんだって。
篤樹から逃げることはしないし、篤樹に守られるだけの私でもないって。


それなのに。


「っ、くしゅっ……」


なんともタイミング悪く、私はくしゃみをしてしまった。
篤樹は何も言わないけれど、背中にじっとりとした視線を感じる。


「ち、ちがっ……! これはただのダストアレルギーでっ……」


断じて風邪じゃない。
体調は良好なのだと、必死になって主張した。


「はいはい。わかったから」


篤樹は溜め息交じりにそう言って、コツッと踵を鳴らして私に近寄って来る。
そして、追い抜きながら私の頭をポンと叩いた。


「重いのは俺がやるから。澪はその辺片付けろ」

「あのっ……」

「大人しく言うこと聞け」
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