俺様黒王子とニセ恋!?契約
彼女の言葉にただ戸惑って言葉を失う私に、橋本さんはちょっと寂しそうに笑った。


「仕方ないですね。こればっかりは。……あ~、これで本当に失恋かあ」


何かを吹っ切るようにそう声を上げる橋本さんに、私はついギョッとしてしまう。
豚汁を作る二人にも聞こえたらしく、「どうしたの~?」と橋本さんに声をかける。
橋本さんはちょっと照れ臭そうに二人と言葉を交わしてから、私をまっすぐ見つめてニッコリと微笑んだ。


「さ、本当にあと一息! 最後まで気を抜かずに全力出し切りましょう! ……ね? 四宮さん」

「……はい」


私も一拍遅れて彼女にそう返事をする。
それが今目の前のこの状況に対してなのか、もっと他の意味を含んでいるのか判断できなかったけれど……。


女性陣で作った炊き出しを囲んで和やかな休憩をした後、途中交代で仮眠を取りながら、作業は続いた。
そうして、オフィスビル内の商業施設の開店時間を迎える三時間前に、完璧に設営を終えることが出来た。


メンバーはそれぞれ一度帰宅して、オフィス仕様の服装で身支度を整えて、また集まって来る。


準備の整った会場に、営業部と営業企画部の部長や、子会社側のお偉方も姿を現す。
商品PRのアナウンスを依頼したアナウンサーも到着した。


オフィスアワーに差し掛かり、ビルへの客足が伸び始める午前十一時。
メインステージでのテープカットのオープニングセレモニーを皮切りに、プロモーションイベントは華々しいスタートを切った。
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