俺様黒王子とニセ恋!?契約
理性と本能がせめぎ合う。


こんな葛藤も、結局私の無い物ねだりだ。
与えられるものだけじゃ満足出来なくて、もっともっとと強欲になる。
それを篤樹が与えてくれないから、手に入れられるものを最初から放棄する。


だけど、私はそれを手放したくない。


どうする? 私。


頑固に理性を貫く?
素直に本能に従う?


私は何を求めてる?
わからない。わからない。わからないけど……。


頭の中が沸騰しそうなくらい、いろんな感情が沸き上がる。
全てを一つずつ拾い上げて、これじゃないあれじゃないと吟味してられないくらい、私は焦れている。


私が選びたい答え。それは……。


インターホンの無機質な電子音が、ひときわ大きく狭い部屋に響いた。
弾かれたように受話器を取ると、この間と全く同じ『俺』という篤樹の声が耳をくすぐった。
それだけでキュンと胸が疼いて、ソワソワしてしまう自分がいる。


ドアの向こうに気配を感じた。
鍵を開けるのももどかしい。
私は勢いよくドアを開けて、そこに立っている篤樹の姿を視界に捉えた。


「ただいま」


この間と同じ挨拶に、ドクンと胸が大きく震えた。
玄関に立ち尽くしたまま何も言えない私に、篤樹は怪訝そうに首を傾げる。
そして、とても意地悪に目を細めて、背を屈めて私の瞳を覗き込んだ。


「待ち侘びた? そんな顔してる」

「っ……!」
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