オレンジライト〜明るい日々へ〜


「私、千歌ちゃんと同じ小学5年生の時に、両親をひき逃げ事故で亡くしたの。
その瞬間を目撃してて頭が真っ白になった。
両親は病院に運ばれたけど、2人とも亡くなったと藤沢先生から告げられて、一緒にいたお兄ちゃんに大泣きで抱きついた。
それからしばらくご飯も口に出来なかった。
どうして、両親が亡くならなければいけなかったの…?
もし、両親を見つけた時、私が声をかけていれば、こんなことにはならなかったのかな…?
そうやってずっと自分を責めてきた。
分かってほしいなんて言わない。
でもね、千歌ちゃんにこのこと知っていてほしかったから。」

「舞梨奈お姉ちゃん。私に会いにひまわり園に来てくれる?」

千歌ちゃんは優しい瞳で聞く。

「うん!もちろんだよ。千歌ちゃんにはもう絶対に悲しい思いしてほしくない。退院したら、毎日のように会いに行く。絶対約束する。」

「絶対約束。」

千歌ちゃんはそう言って小さな手の小指を出す。

私も微笑んで小指を掛ける。

千歌ちゃんは笑顔になった。

それから千歌ちゃんは、毎日のように私の病室に来てくれるようになり、前よりずっと笑顔や話す回数が大幅に増えた。

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