雪降る夜に教えてよ。
「あー……。弱いんだ」

弱くて悪いですか!
どーして桐生さんに笑われなきゃいけない⁉

「こ、この子ほど強くないだけです」

佳奈は周りの状況など、全く気にしてない。目を覚ますと嬉しそうにラーメンを食べている。

「いいね、この子。美味しそうに食べてる」

そしてそんな佳奈を、ニコニコと夏樹さんは見ていた。

「……ですか?」

単に酔っぱらって、何も考えずに食べているんだと思うんだけれど、夏樹さんは力強く頷き桐生さんを見る。

「まず、桐生マネージャーと一緒だと、女の子はみんなお上品に食べるよ」

ああ。なるほど。女の見栄みたいなものかな。“女の子らしく、可愛く、上品に”食べる。

「旨いもんでも、そういうの見てるとこっちがまずくなる。彼女は酔っ払いみたいだけど、幸せそうで、かなりいいね!」

まさに興味深々の様子に眉をひそめた。

「遊び半分で手を出さないで下さいね。私が大変になりますから」

夏樹さんは驚いた様に私を見る。

「えぇ!? いや。そうなの? こんなかわいい子なのに失恋しちゃったの?」

「違うもん! 佳奈が捨てたんだもん」

佳奈は猛然と夏樹さんに詰め寄って、彼の胸もとを掴んだ。

「ごめんなさいは?」

「ご、ごめんなさい」

佳奈はニッコリと微笑むと、またラーメンを食べだす。

「いやぁ。秋元女史の友人にしては、個性的な感じの子だね」

「高校からの付き合いですからね。長いです」

あれ、なんで私は身の上話してるかな。

コップを見ると、三分の二くらいが減っている。ちょっとペースが早いのかも。

「なるほど」

桐生さんの低い声に、ちらりと隣を見た。

「何か?」

「や。別に」

いつもの胡散臭い笑顔で微笑まれて、二人のラーメンが運ばれて来たので無言になる。

それからラーメンを食べ終わって、夏樹さんと桐生さんは会社に戻り、私は佳奈を支えながら雪の積もる道路を見ていた。

この雪の中でこの時間だと、さすがにタクシーも少ないな。

どうしようか、ビジネスホテルでも取ったほうが早そうだけど、満室で空いていない確率の方が高いような気もしてきた。
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