雪降る夜に教えてよ。
「佳奈はねぇ。今日は家に帰るの~」

うわぁ……我が儘がはじまったよ。

「あんたの家まで、タクシー代いくらかかると思ってるの!」

「やだぁ! お父さんの顔を見るのぅ!」

そんなもん、あんたはいつでも見られるっての‼

「まぁまぁ、酔っ払いに逆らうと恐いし」

頭上から声をかけられて真上を見ると、桐生さんが私を見下ろしていた。

……この人、ほんと背が高いな。

「居たんですか」

「居たんですよ」

桐生さんは車のキーをチャラチャラさせながら、爽やかに後ろを指差す。

「大変だろうなーと思って、会社から車を取ってきた。乗って?」

「いや。そんな……悪いですって」

「タク代浮くじゃん?」

浮くじゃんって。

「……ガソリン代かかる」

「反論は許しません」

お兄ちゃんモードだ。
仕方なく甘えることにして、佳奈を後部座席に乗せると、送ってもらうことにした。

「君のうち、後でいい?」

「うちはこの子のうちより近いですよ?」

「えーと。その佳奈さんって子は実家なんでしょ? 父君が仁王立ちしているって事はない? さすがに殴られたくないけど。その状態じゃね?」

もの凄く有り得ますね。想像して思わず笑いそうになった。

「道案内します」

「助かる」





***



遠回りにはなるけれど、先に佳奈を送って、沈黙の中、車を走らせていた。

「秋元さんて、面倒見いいよね」

唐突に桐生さんは口を開いて笑った。

「はい?」

「いや、仕事中でも思っていたんだけどさ。損するタイプだなって」

「え?」

桐生さんの楽しそうな横顔を見ながら、小首を傾げる。

しっかし綺麗な顔だな。
睫毛長いし鼻筋も通ってるし、中性的って言うのかな?
でも、しっかりと男性的でもあるキリッとした顔。

その顔が、ちょっとしかめられた。
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