雪降る夜に教えてよ。
でも、好きになった人に、受け止めてもらえないことだってあることを知っている。

逆に、その方が多いことも。

「私は誰かを好きになんてなりたくない……っ!」

「それには答えたくない」

きっぱりした言い方に、泣き笑いになって、顔を隠してくれていた手をそっとよけた。

「なんで私なんですか?」

自然に出て来た言葉に自分でも驚きながら、桐生さんの片眉が上がるのを見つめている。

「君が君だから、かな?」

私が、私だから?

「それは……なんだか困りますね」

「大いに困って悩んでください。小人ちゃん」

互いに顔を見つめあい、ほとんど同時に吹き出した。

すごく久しぶりに笑った気がした。









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