湖都子のポエム4

現実は甘くない


彼と話すのは楽しい
楽しいけど友達以上になりたいなんて
考えたこともなかった

彼はみんなのものだから
独占しちゃダメだってわかってる

もう昔みたいに無邪気じゃない
今を大事にしたかった
いま…目の前にいる友達を大事にしたかった
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同中の人が隣の席になった。話して、楽しいけど、周りの女の子の視線が怖かった。休み時間のたびに彼の周りは女の子だらけ…またか…いつも通り杏里のところにいく。杏里が同じクラスでよかったよ。

「相変わらずすごいね…」
「はー…早く席替えしてほしい…」
なんて話してたら、その中の何人かの女の子から声をかけられ、トイレに行った。嫌な予感しかしないよ…

「むかつくんだよ。あんたみたいな地味なヤツが、彼と話していいと思ってんのかよ」
彼みたいな人気者…ふさわしくないなんて、言われなくても知ってる…もん。はー…ため息をつく。
「釣り合うなんて、思ってない」
「だったら、身分わきまえろよ。」
そんなのわかってるよ
「お前みたいなブスが近づくな。彼に近づいたら、ただじゃすまさないからっ。あんたみたいなのは、死ねばいい。」
怖くて、震えながら…涙がこぼれた。でも私…自分のこと好きだよ。私を私が認めてあげなきゃかわいそーじゃん。だからいいんだ…なんて言われても、これが私だもん。
「琴里。何があったの?」
なかなか戻らないのを心配した杏里がきてくれた。怒りを抑えられない顔をして、「あんたたち、何やってんの?」と周りの女の子を睨みつけた。悔しかったよ…でも、いちいち泣いてなんかいられない。現実は甘くない。

もっと可愛く生まれたかったな。残念だけど、友達としても、彼の隣にはいられないんだ。杏里がそばにいてくれたら、それだけでいい。私は、1人じゃない。いつだって心はそばにいるよ。いいことばかりじゃなきかもしれないけれど、これからも隣にいさせて。

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