Sweetie Sweetie Sweetie





そして、六月。





週末は、いつも、リンに会いにいった。



だんだんと馴染んでいく夜の街は、



そう、



特別な居場所になっていた。





父親は、単身赴任中で不在だったし、優しい母親は、友達の家で遊んでいると言えば信じてくれた。



お金は、毎月のお小遣いと、これまでずっと遣い道のなかった毎年のお年玉や祝い金が入っている口座から出していて、その口座の残高は、百万円以上あったし、



リンが、お酒はダメだと言うから、飲み物はジンジャーエールやコーラで、詳しい計算はわからないけれど、チェックは、いつも二万円だったし、



大した金額だとは思わなかった。





けれど……





大した金額ではないからか、リンが隣にいてくれる時間は、少なかった。



シャンコがあるから、とか、エースが来ているから、とか、言って、離れていってしまう。



もう、この頃には、ホストクラブでの優先順位は遣った金額だということを知っていたから、泣く泣く見送るしかなくて、



その姿を見かねたヘルプが、囁いた。





「シャンパンとか卸せば、戻ってきてくれますよ」







もっと、隣にいてほしい……







決断するのに、時間は、かからなかった。







★★★★★







そして、七月。





特別な日にしたくて、



七日、七夕の日に、







初めてのシャンパンを卸した。







それが自分の口を満たすことはなかったけれど、



リンが、驚きながら嬉しそうに笑ってくれて、



いつもだって甘いのに、さらに甘い態度で隣にいてくれて、







心は、この上なく、満たされた。







そして、その日、



送り出しのエレベーターの中で、



リンと、







初めてのキスをした。







「シャンパン、ありがとね」







触れた唇から伝わったのは、







甘い、甘い、甘い香り……







★★★★★
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