めぐり逢えたのに
ようやく外が明るくなってくる頃、私はケータイで佐々倉を叩き起こした。電話の向こうで寝ぼけた声が聞こえる。

「……なに、…しおり?」
「違うわよ、万里花です。」
「……こんなに朝早く何の用?」
「お願いがあるんだけど。今日発売の週刊新実、今から買って来てくれない?」
「自分で行けば?」
「いいからお願い。」

強引に頼んで電話を切った。

一時間もすると、トントンと玄関の戸を叩く音が聞こえた。私が慌ててドアを開けると、血相を変えた佐々倉が飛び込んできた。

「下にも何か人が集まってたぞ。」

私は、佐々倉からひったくるように週刊誌を取り上げた。
 
  「小野寺拓也、セレブ人妻と密会デート!」

衝撃的な見出しに、私はめまいがしてきた。現実に起こっている出来事とは思えなかった。

楽しかった三日間が台無しだ……、どこかでそんなことをぼんやり思った。
なおも記事を食い入るように見ていると、拓也から電話が来た。

「見た?」
「見た。」
「ごめんね。なんか大きなことになっちゃって。今、いろいろ手を打ってるところだから……。」
「うん、分かってる。」

聞き分けのいい返事をしながら、私はどうなるか不安で仕方がなかった。

「万里花さん。」
「ん?」
「愛してる。」

拓也との電話は切れた。



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