めぐり逢えたのに
私たちはどんどん仲良くなっていった。

私が、横浜にいたって嘘をついた時にうまく嘘がつけなかった話をしたら、彼は、じゃあ、もう少し上手に嘘がつけるようにって、それからは休日には横浜に遊びに行くことが増えた。

彼は、生活費を稼ぐためにバイトをしたり、合間にオーディションを受けにいったり、お芝居のおけいこがあったり(もちろん公演も)、私は私で、パパとママに疑われないように、きちんと学校に行って、門限だってしっかり守っていたから、私たちは意外と会う時間がなかった。

特に、お芝居に出ることが決まると、もろもろ合わせて一ヶ月とか二ヶ月とか会えないこともあったから、すごくさみしかったけど、でも、いつ公演が終わるか必ず私に知らせてくれたし、終わった後はいつでも私の事を待っていてくれたので、私はそれだけで幸せだなあと思っていた。


そんな風にして一年間はあっという間に過ぎた。
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