めぐり逢えたのに
「ねえ、マリカの彼って、どうやってキスする?」

カフェでケーキを食べながら、友美がこっそり囁いてきたとき、私は思わずむせてしまった。

「ええ……、キス?」

私は驚いて黙っていると、友美は興奮した顔で話を続けた。

「この前ね、松坂くんがキスしようとした時、タイミングがずれちゃって、歯がかちんって当たっちゃったの。」
 その時のことを思い出したのか、友美は頬を紅く染めた。私は続きが聞きたくてうずうずしてたので、黙って友美が口を開くのを待った。
「そしたら、何かすごく気まずくなっちゃって…、何にも出来なかったの、その時。」

私はまたむせた。な、何にもって……、何かやってたの?って思わず聞き返そうとした時、友美が私に聞いた。
 
「マリカの彼は、大人だし経験もあるから、スムーズだよね?松坂くんってすごくぎこちなくて、こっちまで緊張しちゃうんだよね。」
「………」
「マリカの彼はどんな風?」

私は、下を向いてぼそぼそと呟いた。

「…あ、あの、私、キスもしたことない……」
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