めぐり逢えたのに
今度は友美がびっくりする番だった。

「ホントに？」
「……うん。」
「だって、小野寺さんて、初対面でいきなりマリカを抱きしめたり、酔っぱらってマリカの服をぬがそうとしたこと、あるんでしょ。」
「うん……。」

でも、それからは、彼はそんな素振りは全く見せなかった。
実を言うと、私は、彼に抱きしめてほしいな、とかキスしてほしいな、とか思う事が度々あったのだけれど、彼は指一本触れて来なかった。ほんの時たま手をつなぐことがあったぐらいだ。

私は、彼がすごく欲しかったけど、彼にしてみたら私なんか子どもすぎて全然そんな気になれないんじゃないか、って心配していた。思い切って友美にそんな風に言ったら、

「そっか……、カレシが大人すぎるっていうのもそういう問題が出てくるんだね〜。」

って妙な感心をされた。

私のほうがずっと長く付き合ってから、友美たちがそんなことをしてるなんて私は考えもしなかった。私は友美が羨ましかった。

私も彼にキスをしてみたかった。キスをされてみたかった。

キスってどんな味がするんだろう。

友美の話を聞いてから、私の頭は彼とのキスのことで一杯になった。
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