めぐり逢えたのに
彼は、私の方に顔を向けると、しごく真面目な顔で答えた。
「大丈夫だよ。今、念力でドーナツをおせんべいに変える練習をしていただけだから。」
「うまくいった?」
「残念ながら、練習が足りないようだった。」
がっくりと肩を落としてうなだれているから、私は厳かな声で彼にアドバイスをした。
「それは、あなたの念じ方が間違っているのです。まずは、目の前にいる人に、心からの感謝の気持ちを表さなくてはなりません。」
「……はい。」
彼が目をつぶって両手を合わせて何やらブツブツ念仏のようなものを唱え始めたので、私はそのスキに、紙にささっとおせんべいの絵を描いてドーナツの代わりに目の前においた。
なおも念じ続けて彼が目を開けた時、おせんべいの絵を見て吹き出した。私は、やったぁ、と歓喜の声をあげた。このところ、二人でどっちが先に相手を笑わせるか、っていうのをやって遊んでいたから。今回は私が勝ったから、コンビニで買う飲み物を何にするのか決めるのは私の番だった。
こんな風に、私たちは、しょっちゅうくだらない遊びを考え出しては楽しく過ごしていた。私は、こうやって彼と時間を過ごすのがとても好きで、全然飽きる事がなかった。
「何でおせんべい?」
「甘いものばっかりで飽きちゃってさ……、今度はスナック菓子の店でバイトしたいよ。」
「スナック菓子だと廃棄菓子なんてめったにでないと思うよ。」
私が鋭い指摘をすると、彼はますますがっくりしていた。
「大丈夫だよ。今、念力でドーナツをおせんべいに変える練習をしていただけだから。」
「うまくいった?」
「残念ながら、練習が足りないようだった。」
がっくりと肩を落としてうなだれているから、私は厳かな声で彼にアドバイスをした。
「それは、あなたの念じ方が間違っているのです。まずは、目の前にいる人に、心からの感謝の気持ちを表さなくてはなりません。」
「……はい。」
彼が目をつぶって両手を合わせて何やらブツブツ念仏のようなものを唱え始めたので、私はそのスキに、紙にささっとおせんべいの絵を描いてドーナツの代わりに目の前においた。
なおも念じ続けて彼が目を開けた時、おせんべいの絵を見て吹き出した。私は、やったぁ、と歓喜の声をあげた。このところ、二人でどっちが先に相手を笑わせるか、っていうのをやって遊んでいたから。今回は私が勝ったから、コンビニで買う飲み物を何にするのか決めるのは私の番だった。
こんな風に、私たちは、しょっちゅうくだらない遊びを考え出しては楽しく過ごしていた。私は、こうやって彼と時間を過ごすのがとても好きで、全然飽きる事がなかった。
「何でおせんべい?」
「甘いものばっかりで飽きちゃってさ……、今度はスナック菓子の店でバイトしたいよ。」
「スナック菓子だと廃棄菓子なんてめったにでないと思うよ。」
私が鋭い指摘をすると、彼はますますがっくりしていた。