めぐり逢えたのに
最近、彼はドーナツ屋さんでバイトを始めたと言って、彼の部屋に行くとたくさんのドーナツが置いてあることがよくあった。どうも、余り物をバイト先からもらってくるようだった。
ある日、私が彼の部屋へ行くと、彼がこわい顔をしてじーっとドーナツを見つめていたことがあった。
私は、何をしてるんだろう、って訝しがりながら、邪魔をしないように静かに彼を見守っていたところ、彼はドーナツをぱくっと食べて、
「ううむ、美味しいおせんべじゃのう。」
と言い出した。私は、彼が貧乏のあまり、ついに幻想を見るようになったのかとかなり焦って叫んだ。
「頭、大丈夫?!」
ちょっと考えると、相当ひどい言葉だと思うのだが、その時の私は何しろ気が動転していて、考えるより先に口からぽこぽこぽこと言葉が飛び出した。
ある日、私が彼の部屋へ行くと、彼がこわい顔をしてじーっとドーナツを見つめていたことがあった。
私は、何をしてるんだろう、って訝しがりながら、邪魔をしないように静かに彼を見守っていたところ、彼はドーナツをぱくっと食べて、
「ううむ、美味しいおせんべじゃのう。」
と言い出した。私は、彼が貧乏のあまり、ついに幻想を見るようになったのかとかなり焦って叫んだ。
「頭、大丈夫?!」
ちょっと考えると、相当ひどい言葉だと思うのだが、その時の私は何しろ気が動転していて、考えるより先に口からぽこぽこぽこと言葉が飛び出した。