めぐり逢えたのに
建物の中に入ったところに受け付けがあった。
私は、ママと一緒に(パパは誰かと立ち話をして盛り上がっていたので)自分の名前を書こうと受け付けに行って……、受け付けの男の人を見てびっくりした。
どう見ても場違いなよれよれのスーツにぼさぼさの頭で受け付けをしていたからだった。入れ替わり立ち代わり食べ物や飲み物を持って来てくれる人たちだってタキシードを着てたのに、あのスーツはちょっと……。
私はその人の面白い格好につい、まじまじと見てしまった。ママが、肘で私をツンツンとつついているのにも全く気付かなかった。
そのスーツの人は、私の不躾な視線にふいに気付くと、顔をあげて、私の目をまっすぐに見てにっこり笑った。
「お名前は書かれましたか?」
その笑顔と、涼しげな声を聞いた瞬間、私は雷に撃たれたみたいな衝撃を受けた。
名前を書く手がカタカタと小刻みに震え、心臓の動悸が激しくなる。
俗にいう、一目惚れってヤツだった。
私は、ママと一緒に(パパは誰かと立ち話をして盛り上がっていたので)自分の名前を書こうと受け付けに行って……、受け付けの男の人を見てびっくりした。
どう見ても場違いなよれよれのスーツにぼさぼさの頭で受け付けをしていたからだった。入れ替わり立ち代わり食べ物や飲み物を持って来てくれる人たちだってタキシードを着てたのに、あのスーツはちょっと……。
私はその人の面白い格好につい、まじまじと見てしまった。ママが、肘で私をツンツンとつついているのにも全く気付かなかった。
そのスーツの人は、私の不躾な視線にふいに気付くと、顔をあげて、私の目をまっすぐに見てにっこり笑った。
「お名前は書かれましたか?」
その笑顔と、涼しげな声を聞いた瞬間、私は雷に撃たれたみたいな衝撃を受けた。
名前を書く手がカタカタと小刻みに震え、心臓の動悸が激しくなる。
俗にいう、一目惚れってヤツだった。