めぐり逢えたのに
そのパーティーは、パパの友だちの誰かの金婚式だったらしい。
とても大きなパーティーで、そのご夫婦は嬉しそうにしていた。もし、おばあちゃんが生きていたら、おじいちゃんの時もきっとこんな感じになってただろうに、と私は思っていた。

テレビで見た事があるような気がする人もちらほらいたし、意外なことに私とあまり年齢がかわらないぐらいの人もたくさんいた。どっちにしても、私にはあまり興味のないことだったが、パパは、いろんな人のところにせっせと私を連れ回して紹介していた。
私はまだ高校生になったばかりで、パパの会社なんて継げるわけもないのにね。

そんなことより、私は受け付けの彼に会いたくて仕方がなかった。

お手洗いに行くふりをして、何とかパパから逃れて、私は彼を探した。もし、今日、ここで彼に会えなかったら、二度と会う事はできないかもしれない。

私は必死だった。

受け付けには、人影がなかった。

もう、帰っちゃったのかもしれない……、ガッカリしながらも、諦めきれなかった私は、中庭の方をぐるりと歩き回ることにした。
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