【改訂版】ワケあり上司とヒミツの共有
なるほどね、と一人頷いている私の顔を、オーナーさんがジッと見つめて来た。

「………?」

何か私の顔に付いているだろうか?そう訪ねようと口を開きかけた時、

「つかぬ事を聞くけど、あなた本物の女性よね?」

とオーナーさんに聞かれた。

「えっ!?」

私は、言っている意味がイマイチ分からなくて、言葉に詰まる。

すると、正面に座っている津田部長から溜め息が漏れた。

「ハナ。この子は正真正銘女性よ。変な詮索してないで、いつもの持って来て。アンタも同じで良いわよね?」

「あ、は、はいっ」

なんだかよく分からないけど、津田部長に言われるがままに頷いた。

すると、オーナーさんが腰をクネクネくねらせ、唇を尖らせながら津田部長に食って掛かり始めた。

「あぁん、なによぅ!ちょっと位教えてくれたって良いじゃない!いつも一人なのに急にこんな美人連れてくるんだもの、気になるでしょう!?」

「それが余計だって言ってるのよ。時間ないんだから、早くして」

他のお客さんがいないのを良い事に、津田部長は完璧に素に戻っている。私は、ギャアギャアと騒いでいる二人をボーッと眺めた。

なんの気も使わず、言いたい事を言い合っている二人は、なんだか楽しそうだった。

私がクスっと笑うと、それが気に障ったのか「なにがおかしいの!?」と鼻息荒く物凄い形相で二人が振り向いた。あの「クールで女子社員憧れの的」な津田部長からは想像出来ない位。

それがおかしくて、私はたまらず声を出して大笑いしてしまった。

「ぶはっ!ご、ごめんなさいっ、二人とも…ふふ……同時に凄い顔で…あははっ!」

私は涙を流しながら笑った。こんなに笑ったのは久々かもしれない。

突然の私の大笑いに、二人はキョトンとしている。それもまたおかしくて、私は笑いが止まらなくなっていた。

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