涙の雨と僕の傘

修学旅行で、名瀬と同じグループになった。


特別な理由を作る必要なく、彼女と過ごせる4日間。


楽しみ過ぎて、俺は浮かれっぱなしだった。



朝起きて、名瀬におはようを言えて、言ってもらえて、

一緒に朝食をとって、

一緒に行動して、

一緒に昼食をとって、

一緒に行動して、

一緒に夕食を食べて、

お風呂上りの名瀬なんかも見れたりして、


そして、また明日じゃなく、

おやすみが言える、言ってもらえる。


なんて贅沢な旅行だろう。

ふたりきりじゃないのがアレだけど。


グループで一緒のクラスメイトとくらい仲良く話せと名瀬に言われたので、一応話しかけられたら応えるようにした。

まあバイトは休みで余裕はあるし、旅行の間だけと思えばがんばれる。


名瀬より仲良くなるつもりはさらさらないけれど。



でも思ったより、グループのメンバーは悪くなくて、過ごしやすかった。

女子も名瀬に何か言われてるのか、そううるさくなかったし。


それよりも修学旅行が始まって、他の女子たちにカシャカシャスマホで撮影されるのがうっとうしかった。


けど名瀬が楽しそうにしてるから、俺も楽しい。

気づけば笑ってる自分がいた。




修学旅行2日目。


名瀬はグループ行動中に彼氏と会う為、少し抜けることになっていた。

グループの奴らは気にしてないようだけど、俺はやっぱり、ちょっと面白くない。


そんな気持ち、おくびにも出さないようにしてるけど。
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