彼女のことは俺が守る【完全版】
それは私の本音だった。優しいし憧れている部分もある。でも、好きというのとは少し違うような気がしていた私は素直に頷けなかった。でも、そんな私に優斗は嫌な顔一つせずに私のことを見つめていた。


「俺のこと嫌いじゃないならそれでいいよ。藤森が振り向いてくれるまで俺を待つし、それに先輩後輩でも映画くらい行くだろ。先輩後輩から少しだけ仲のいい先輩後輩になろう。それならいいだろ」


 確かに友達とだって映画は行くし、だから先輩である優斗と行くのもアリなのかもしれないけど、たった今、告白された相手と一緒に行くというのは急にハードルが高くなった気がする。それは仲のいい先輩後輩ではないと思う。


「でも…私」


「さ、マンションに着いたよ。土曜日の件はまた連絡する。おやすみ」


 タクシーはいつの間にか私のマンションの前に止まっていた。タクシーのドアが開くから私は降りなくてはいけなくて、でも、優斗の話は途中で、私はきちんと断ることが出来なかった。


「おやすみなさい」


「ああ、おやすみ。メールするから」


 メールと聞いて私は驚いた。


 その言葉は嘘ではなくてメールが嫌いで有名な優斗が毎日のように私にメールを送ってくる。短いメールばかりだったけど、それでも数が重なる毎に優斗への気持ちが私の中で膨らんでくる。元々、好意は持っていた。でも、付き合うとなると躊躇する私がいて、嫌いじゃないけど、好意は恋にはなってなかった。

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