彼女のことは俺が守る【完全版】
 ロケが終わってもマンションに帰ってくるのは明日の金曜日か土曜日になるのかな?


 ずっと会いたいと思っていた。でも、会えるとなると緊張もする。この三週間は毎日のようにメールや電話をしていたけど、実際に会ったのは短い時間だった。そんな中で偽装結婚をするようになり、私は海斗さんのマンションに同居させて貰っている。


 明日海斗さんが帰ってくると考えると、まずは何か食べる物を用意しないといけない。食べるにしろ、食べないにしろ。どうにでもなる様に買い物をしないといけない。冷蔵庫の中身を思い出しながら買い物をしたのだった。


 海斗さんのマンションの近くにあるスーパーマーケットは高級で名高い店だったけど、野菜にしろ、肉にしろ最高級のものが手に入る。普通の私の生活には敷居が高いけど、明日、海斗さんの為に作る材料なら少しくらい高くてもいい。


 そんなことを思いながら、私はどんどん籠に入れて行き、スーパーマーケットを出る頃には両手いっぱいの袋を下げて歩くことになってしまっていた。歩いてそんなに距離が掛からないけど、重たい袋は持っている手にギリギリと軋ませている。


 目の前に海斗さんのマンションが見えてきて、今は慣れたカードキーを翳してからエントランスの中に入ったのだった。海斗さんの部屋の鍵を開けて中に入ると、いつもの通りにパッとライトが灯る。そして、いつもと違うのが…玄関に海斗さんの靴が並んでいたことだった。
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