彼女のことは俺が守る【完全版】
「高取さん。雅さん。色々ありがとうございました」


 私がそういうと、高取さんは頷き、雅さんが私の身体をキュッと抱き寄せてくれた。そして、優しい言葉を響かせた。


「里桜ちゃんはとっても綺麗よ。誰よりも綺麗だから、胸を張って。下を向かないで。怖くなったら篠崎くんを見るのよ。篠崎くんなら里桜ちゃんのことを守ってくれるから」


 雅さんの手によって私は飾り立てられていて、今までで一番綺麗なのは間違いない。それでも怖いと思う私の気持ちを悟ってくれている雅さんの言葉は胸の奥に染みてくる。


『篠崎くんなら里桜ちゃんのことを守ってくれるから』


 雅さんの言葉の通りだと思った。海斗さんなら絶対に私を助けてくれる。あの、一番辛かった日も私が伸ばした手を海斗さんはしっかりと握り、身を引き裂かれるような苦しみから助けてくれた。その後の長く続く苦しみの日々を和らげてくれたのも海斗さんだった。それは間違いない。


「雅さん。ありがとうございます」 


 マンションを出ると少しだけ目の前を歩く海斗さんは静かに言葉を零した。


「里桜は胸を張ってアイツらを見るんだ。里桜は何も悪いことをしてないから」


「う、うん。」


「俺が絶対守るから」


 そんな海斗さんの言葉に頷きながら、私は海斗さんの車に乗り込んだ。ドアが閉まった瞬間に思ったのは『もう逃げられない』ということ。今から私はきっと過去の傷に触れることになるだろう。怖いと思う気持ちも多々ある。でも、すこしだけ前を向けるのは横に海斗さんがいてくれるからだろう。
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