彼女のことは俺が守る【完全版】
 考えてみれば、私は会見に出るわけではなく、傍で見ているしか出来ない。実際に記者の前に出て会見をするのは海斗さんだけ。それなのに、私は海斗さんの気持ちも考えずに自分のことだけを考えていた。


「用意は出来たか?」


 私の向けられた言葉はさっきの鋭さが一瞬で消え、私を落ち着かせるように穏やかに声を出す。そして、私の姿を見てニッコリと笑うのは、いつもの海斗さんだった。


「はい」

「高取。車の用意を頼む」

「わかりました。マンションの裏に車を回します」

「私も付いて行くわ」


 雅さんも一緒に行ってくれると言ってくれたので私は少しだけ緊張が緩むのを感じた。海斗さんの会見している場所の近くに居て欲しいと言われたけど、高取さんしか知らない場所で一人で待つのは緊張してしまう。雅さんがいてくれるなら安心だと思った。


 先に高取さんと雅さんが出て行って、リビングには私と海斗さんだけが残っていた。


「里桜」

「はい」

「今からの俺を見ていてくれるか?」

「はい」


 決意にも似た海斗さんの言葉を聞きながら私は今からの事を考えるだけで怖くて仕方ない。ここに居ればいいと言ってくれたのについて行くと決めたの私。


「じゃ、行くぞ」


 高取さんの運転する車の後部座席に私と海斗さんが並んで座り、運転席には高取さんが座り、その横の助手席には雅さんが座っている。私と海斗さんが乗り込むと高取さんの運転する車はスムーズにホテルの裏の駐車場から中に入ることが出来た。
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