彼女のことは俺が守る【完全版】
それなのに、こんなに苦しいのに、二股を掛けて裏切った優斗が許せないのに、これは嘘で、ドアを開けて優斗が入ってくるのではないかと妄想する。でも、優斗は私の部屋に来ることもなければ、さっきの事は間違いだとも言ってはくれない。殺風景な部屋に一人でいるのが現実だった。


「疲れた」


 そんな呟きを零した私はもう考えることもしたくなかった。


 シャワーを浴びて部屋着に着替えて自分のベッドを見て吐き気がした。ここでは寝ることが出来ないと思った。そう思った私は普段使ってない綿毛布を引き出すとそれを身体に纏い、ソファに横になる。小さな二人掛けのソファに横になっても足を延ばすことは出来ない。それでもベッドに寝るよりはマシだった。


 身体も心も疲れ果てているのに、眠ろうとするほど眠れなくて、目は冴えるばかりだった。そして、何度も目を瞑っては見たけれども一睡も出来ないまま朝を迎えたのだった。忙しい時期だから会社に行かないといけないと分かっている。でも、襲い来る吐き気が私を弱らせた。


 吐こうと思っても吐けるものは何も胃の中には残ってない。苦いものがこみ上げるだけで薬を飲んでも一向に良くなる気配はなかった。そんな私に仕事など出来るわけもなく、プライベートで揺れたせいで身体が動かない。


『すみません。体調が悪いので休ませてください』

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