彼女のことは俺が守る【完全版】
「待たせたな。思ったよりも高速が混んでいた」


 仕事が終わってそのまま来てくれたようで、昨日、初めて会った時のようなスーツを着ている。それなのに少しも嫌な雰囲気は私には見せない。そんな彼の様子にホッとする。


「迎えに来てくれてありがとう。いきなり電話してごめんなさい」


「ちょうど仕事が終わったばかりだったからよかった。でも、少し待たせてしまったな」


 私が首を横に振ると篠崎海は綺麗な顔に微笑みを浮かべたまま、車の助手席のドアを開けてくれた。今更だけど彼は本気なのだろう。本気で私をこの苦しみの中から救い出しにきてくれた。それだけで嬉しかった。心の痛みがまた少し和らぐ。


「里桜、忘れ物は無いか。無かったら乗って」


「うん」


 車種は分からないけど、高級というのだけは分かった。ドアを開けて貰ったその先は清潔な空間が広がっていて、爽やかな香りが私を包む。そして、初めて乗った四輪駆動の車は座席までが高く、少し篠崎海に手伝って貰わないと乗れなかった。少し触れた手は優しく温かかった。


「車を動かすけどいい?」

「お願いします」


 思ったよりも広い車内に私は居て、その横にはまっすぐ向いて運転をする篠崎海の姿がある。ただ、運転しているだけなのに、その姿はドラマのワンシーンのように綺麗で現実味がない。視線を落とすとそこには自分のがそこにはあって、膝の上でキュッと握られている。
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