彼女のことは俺が守る【完全版】
 篠崎海が知りたいのは私の履歴ではなく嗜好のようだった。ごく普通に出会ったなら、お互いに時間を過ごしながら理解していくのだろうけど、今は私もこんな状況だし、相手は人気俳優の篠崎海だから、最初に出会いからして普通じゃない。それに今は『偽装結婚』さえも持ち掛けられている。


 私が電話をしたということは…。私が篠崎海の『偽装結婚』を受け入れたことになるのかもしれないし、それとも同情して私を助けてくれただけで、結婚のことは本気なのか分からない。


「好きなのはイチゴ。嫌いなのはシイタケ。基本的に和食が好きです」


 そんなことを応えながらも頭の中は『篠崎海』と『偽装結婚』のことで一杯だった。でも、そんな私の焦りとは反対に篠崎海はまるでドライブをしているかのように穏やかに笑っている。


「イチゴかぁ。覚えておく。ちなみに里桜は俺のことどのくらい知っている?」


 私はテレビをあんまり見ないので本当に名前くらいしか知らない。雑誌も後輩の女の子が見ていたのを横から見ていたくらいだから、篠崎さんに胸を張って言えるようなことは何も知らなかった。だから、素直に答えた。


「名前と顔と職業くらいしか知らないです。あんまりテレビとか見ないから」


「それだけ知っていれば十分だよ。ただ、俺の本名は海斗(カイト)だから、名前で呼んで欲しい」

< 39 / 188 >

この作品をシェア

pagetop