彼女のことは俺が守る【完全版】
 カチャっと音がして廊下の向こうにあるドアが開く。そこからバスタオルで髪を拭きながら出てきた篠崎海は私の姿を捉えると驚いた顔をしている。


「ごめん。先にゲストルームを案内しておけばよかったな。里桜。こっちおいで」


 そんな優しい声に促され、私がソファから立ち上がると、篠崎海は拭いていたタオルを肩に掛け、リビングの入口に置いてあった私のバッグを持つと、廊下を歩いていく。そして、さっき『ここはゲストルームだよ』と教えてくれた一つの部屋に案内してくれた。


 篠崎海はドアを開けると、さっきの何もない部屋よりは狭いけど、十分な広さを持ったゲストルームになっていた。落ち着いた淡い水色の壁紙を張ったその部屋はベッドとチェストがあり、そこ横にはクローゼットまで完備してある。ホテルの一室のようなその部屋に私は驚いた。


「素敵なお部屋ですね」


「そうか。全く使ってないからな。それと、バスルームは勝手に使っていいから。タオルは里桜が分かるように出しているからそれを使って。俺は仕事があるから里桜が起きる前に出ると思う。カードキーはリビングのテーブルの上に置いておくから好きに使っていいよ。じゃ、おやすみ」


 そう言って出て行こうとする。


「あの」

「ん?」


 出て行こうとしていた篠崎海が振り向くと濡れた髪から水滴が落ちた。


「あの。聞いてもいいですか?」
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