彼女のことは俺が守る【完全版】
 篠崎海はそういうけど、私が自分の部屋で過ごすことに耐えられずに伸ばした手を掴まえてくれただけ。住むところを提供してくれただけでも私にはありがたいと思うのに、ベッドも服も何もかも用意してくれて不自由を感じる理由が見つからなかった。それに、指に光る指輪は嬉しいと言うよりも未だに貰ってよかったのだろうかとさえ思うのだった。


「ありがとうございます。」


「もうお礼はいいよ。さ、それよりも一緒に食事を楽しもう」


 前菜で始まったコース料理も後はデザートを残すのみとなっていた。ホテルの最上階のレストランのデザートだから私は期待してしまっていた。どんな趣向に凝ったものが出されるかと思っていたけど、それはいい意味で驚かされた。


 最後の締めとなるデザートは大きなお皿の中にチョコレートケーキとアイスクリームが添えられているもので、その横にはフルーツが添えられているという典型的なデザートプレートだと思った。でも、普通のものと違ったのはデザートのお皿の中のバランスを崩すほどの大粒のいちごが乗っている。


 それも三つも。


 普通なら一個。それも小ぶりなサイズのものが添えられると思うのに、今日は大きないちごが三つも乗っている。それもカットなんかされないそのままのサイズだった。


「里桜はいちごが好きだって言ってたから、来た時から頼んでいたんだよ」


「覚えていてくれたんですか?」


「里桜のことは勿論覚えているよ」


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