彼女は僕を「君」と呼ぶ
今のは、維自身に問題があっただろう。彼女になんの非もない。

彼女がただ小野寺教諭を好きなように、ただ維自身が彼女を好きなように。

「これ、間違って買っただけだからよかったら飲んで」

居たたまれず、常温よりも温かくなってしまったそれを彼女に押し付けた。

それから逃げるように階段を下りきる。

掛け下りた足元は空回りを繰り返して、一番下についた頃、使い物にはならなかった。

しゃがみ込んで膝の上に額をぶつけた。

最悪である。
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