そんな結婚、あるワケないじゃん!
『晩ご飯作って待ってる』


午後6時。流れてきたLINEに気づいた。


「もう帰ってくんのかよ…」


呟きながらホッとしてる俺。
今朝のことが頭にあって、仕事しててもどこか気が気じゃなかった。


(美結のやつ、怒ってんのかな……)


話そうとしてたのに勢いよく腕を振り解いてしまった。
触れた指先にビクついて、ゾクッとした気持ちが湧き上がりそうになったから。


(バカだよな、こんなことで一々欲情してどーするよ…)


そう思いながら、今夜何もせずにいられるかと言うと自信もない。

絶対に素面でなんかいない方がいい。

でないと、何をするか自分が一番分からねぇ……。



『酒用意しとけ。なるべく沢山』

『了解!』


オッケーを示すウサギのスタンプを付けて返事があった。
その速攻性に菅野の喜んでる姿が思い浮かぶ。


帰ったらどんな顔して出迎えてくれるんだろう。
間違っても泣き顔だけは見せないでいて欲しい。

俺はあいつの泣きに弱いんだ。
だから絶対に泣くなよ。


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