そんな結婚、あるワケないじゃん!
「あ〜〜ん!ペソ〜〜〜ッ!」


「キャン!キャン!!」


クゥゥゥゥン……と甘え声。
小さな体を抱きすくめ、やっぱ癒されるぅ〜と実感する。


駅前で春物のストールを買って首に巻いて帰った。
キスマークなんか見られたりしたら、母に何と言って茶化されるか分からないから。


見せない様にするのが一番。
それに越したことはない。




「…あら、もう出戻ってきたの?」


口の悪さは相変わらず。
でも、それにも何となく癒される。


「出戻ってなんかないよ。ペソに会いに来ただけ」

「そうなの?私はてっきりケンカでもしたのかと思ってたけど。羽田君からもLINEきてたし、同じタイミングで美結が帰ってきたから」


「…えっ⁉︎ LINE⁉︎ 羽田から?」


どんな?と聞くと、母がスマホの液晶画面を見せてくれる。
羽田が送ってきた文字は全部で17文字。


『2、3日美結をヨロシクお願いします』


「何これ……」


まだたった2日しか経ってないのにこの文面。

これじゃー出戻りだと思われても仕方ない。



(…あっ、そうだ!私には…⁉︎ )


慌ててバッグから電話を取り出して見た。

羽田からのLINEは1件。
しかも、その内容は…………



『暫く帰ってくんな!』


吐き捨てるような言葉一つだけ。



(えっ⁉︎ コレってどういう意味なの……)



キスマークの次は帰ってくんな?

私、一体何をやらかしたーー⁉︎



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