strange

「だから、沙良を生かすために…慧さんが記憶を預かってくれたような気がする」

慧なら本当に…やりそう。

慧の笑った顔がふと浮かんだ。

鼻の奥がツンと痛い。

あれほどに思い出せなかった慧の顔がどんどんと浮かんでくる。

記憶がなくなるという体験までしたからなのか、私はその不思議な言葉をすんなりと受け入れられた。


「俺は、沙良をまるで自分の一部のように思っていたんだ。沙良のことが大好きで…慧さんと付き合い始めた時、正直ちょっと荒れた」

それは、ハッキリ覚えているけど。
夜遊びに、女の子も取っ替え引っ替え…

間違いなく私、先を越されたなって…
思ったのよ。
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