変わらぬ愛なんて、あり得ない!【甘い香りに誘われてⅡ】spin off
ピンポーーン、ピンポーーン


う、うるさい…


カチャ…

仕方なく、ドアを開けた。


ふわぁ…と芳醇なバターの香り。


「……っ!」

目の前に、お皿に盛られた綺麗な黄色。

「美咲の分も作ったから」

反射的に、差し出されたお皿を受け取ると、駿がニコリと微笑んだ。

「……ありがとう」

本当に作ってくれたんだ…

フレンチトーストの懐かしい匂いに、意識が、一気に7年前に引き戻された。

一度だけ遊びに行った駿の家で、食べたフレンチトースト。


「未だにさ…俺がまともに作れるの、コレくらいなんだ」

照れ臭そうな駿は、7年前と同じセリフを言って笑った。


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