変わらぬ愛なんて、あり得ない!【甘い香りに誘われてⅡ】spin off
午後5時30分

本日の業務を終え、私は悠里と会社近くの珈琲ショップに来ていた。

セルフのコーヒーを手に、窓際の席に並んで座る。

女子更衣室で、帰りが一緒になった悠里と、コーヒーを飲んで行こうとなり、ここにいる。

悠里と、たわいも無い話をしながら、チラッと壁にある時計を見る。

午後6時


『午後6時、三光堂一階に来い』


何よ。行くなんて言ってないわ。



カタ…


「美咲、そろそろ帰ろう」

唐突に悠里が言い、席を立つ。

「えっ…」

ぼんやりとした頭で聞き返す。

「美咲…予定があるんじゃない?心ここに在らず。さっきから時間ばかり気にしてる」

デートかな?と悪戯っぽい瞳で、私の目をのぞき込む。

「デ、デートじゃないわ。ごめん、買いたい物があったから、また今度ゆっくりお茶しよう」

慌てたように早口で言う私に、

「今度、教えてね?いつも冷静な美咲を、そんな風にさせる人のこと」




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