変わらぬ愛なんて、あり得ない!【甘い香りに誘われてⅡ】spin off

迷子の心

「おい!馬鹿な事を考えるなよ?」

「……ひっ!」

誰もいないと思ったのに、突然背後から声がして、物凄く驚いた。

振り向くと、息を切らした矢野さんが立っていた。
不機嫌なオーラを出している。

物凄く怖い顔で、私の事を睨んでいる。

私、何かした?

「あの…矢野さん?」

突然、グイッと腕を引かれ、矢野さんの腕の中に閉じ込められる。

「どこにも行くな。辛かったら、俺を頼れよ」

「矢野さん?私は、どこへも行きませんよ?」

行く所なんて、どこにもない。

「今…『消えてしまいたい』って、言ってた」

あー、言ったかも。

「物の例えです。矢野さん」

もしかして、心配してくれたの?

矢野さんの腕の中、温かいな。この居心地のいい場所に、ずっといる事が出来たら幸せだな。

温かい体温に包まれ、私は意識を手放した。




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