変わらぬ愛なんて、あり得ない!【甘い香りに誘われてⅡ】spin off
「このお茶碗って、矢野さんと一緒の?」

美咲が手にしている器は、" 飛びかんな "と言われる技法で、細かく飛び跳ねたような特徴的な点々が、器の内外にぐるっと施されている。

他にも、" 刷毛目 "などの技法がある小鹿田焼きは、国の重要無形文化財に指定されている。



素朴な温かみのある作風のこのお茶碗に、ほかほかご飯をよそって……美味しそう。

「おい、ヨダレが垂れてるぞ」

「えっ…」

「ぶっ、冗談だ」

むっ…そんな、肩を震わせる程、笑わなくてもいいじゃない…

「………」

「うちにある茶碗は、小鹿田焼きだ。それ気に入ったなら、美咲のもそれにするか?」

「いいの?…あっ、いいんですか?」

「敬語じゃなくていい。仕事中でもないし。湯呑みも同じでいい?」

お茶碗の隣に並んだ湯呑みに、視線をやる。

下の方が、丸みを帯びコロンとした感じの湯呑みも可愛らしい。

「かっ…可愛い」

「決まりだな」

私が見ていたお茶碗と湯呑みを、矢野さんがひょいっと持ち上げる。







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