年の差恋愛
1.対照的な2人
安藤商事総務部に大学卒業と同時に入社した、澤田亜美(22)。

3ヶ月の研修を経て、ようやく本格的に総務部で仕事をする事になった。

今年の総務部の新入社員は、亜美と合田健斗(22)。

亜美は、155㎝、45kg、童顔がコンプレックス。化粧をしても、童顔は直らないと、周囲に言われた為、化粧は、ファンデーション、ほんのりアイシャドウ、マスカラも、きもちだけつけ、ピンクの色付きリップだけだ。

周りの先輩女子社員達の女子力の高さに、亜美は、ガックリ肩を落とした事など、誰も知らない。

「健斗君…」
「…何?」

隣のデスクでパソコン入力中の同期、健斗のスーツの袖を軽く引っ張った、亜美。

健斗は動かしていた手を止めると、チラッと亜美の方を見やった。

「…市来部長なんだけど。…怖い」
「…プッ、あはは」

切実な亜美の言葉に、健斗は思わず吹き出してしまった。

「…そこ!無駄口叩いてる暇があったら、さっさと仕事しろ!」

市来部長…市来茂(49)

178㎝、スラッとした体型、メタルフレームの眼鏡の奥に、切れ長な目。…いわゆるイケメンの部類に入るのだが、とにかく怖い。四六時中、眉間にしわをよせ難しい顔をして仕事をしている。口を開けば、怒鳴り声しかあげない。

典型的な鬼上司。

そのおかげで、総務部は、とても成績優秀な部署だ。…ただ、市来部長に逆らえないだけだと言われれば、それまでなのだが。
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