年の差恋愛

鬼上司は、24時間鬼上司?

…先にオフィスに戻った市来部長は、資料室での事を思い出し、笑いを堪えるのに必死だった。

大学卒業後、ここに就職して平社員を5年、異例の出世で5年課長をこなし、更に超異例の出世で、営業部で部長を5年、人事部にヘルプを頼まれ、部長を5年、やっと落ち着いて、総務部で今部長を続けている市来部長。

その間、真っ直ぐに仕事を真面目にこなしてきただけなのだが、市来部長に社員達から『鬼上司』というあだ名が付けられた事は、本人も知っていた。

それで尚更、今のスタイルを崩す事が出来ず、鬼上司のままなのだ。

それなのに、亜美の前では、鬼上司の仮面が剥がされてしまう。

いつも自分にビクついてるくせに、突然意見したり、楯突いたり、かと思えば、ゴキブリ嫌いで、抱きついてくるし…

亜美には、振り回されっぱなしだった。

…会議に向かい、数時間の会議を済ませ、再びオフィスに戻ると、亜美がパソコン操作に手間取っていて、隣の健斗が優しく教えている。

…それを見て、市来部長は思った。

自分と健斗とは、性格も真逆。歳だって、自分と亜美とでは、27歳も違う。

…ん?と、椅子に座って更に市来部長は眉間にしわをよせた。

何故、そんな事を思った?俺はバカなのか?と、市来部長は思って、溜息をついた。

そして、今の考えを打ち消すように、仕事に集中した。
< 15 / 115 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop