年の差恋愛
2.年の差の壁
…凄く軽い感じて付き合おうとか言われたが、亜美が健斗の想いを重く受け取らないようにという計らいからなのだが、当の亜美は、軽くは受け取れなかった。

…産まれてこの方、男から告白された事がなかったのだ。小学校こそ共学だったが、中高、大学は、女子校だった。

好きな人が他校に出来たこともあったが、告白してもふられた。…原因は、亜美が子供っぽいから。

大人になっても、童顔が直る訳もなく、もう、彼氏というもの自体諦めていた。

それに、市来部長に言われたことも止めを刺された感じがあって、もう一生、そんな事には無縁なんだと思っていた。

「…好きな人、か」

定時に仕事を終わらせた亜美は、真っ直ぐ自宅に帰って、部屋の中に入ったと同時に、そう呟いた。

呟いて、浮かんできたのは、…市来部長の顔だった。

「…ち、違う!違う!」

自分が市来部長の事を好き⁈いや、それはない!絶対無い!…絶対…

浮かんだ気持ちを掻き消すように、エプロンをしてキッチンに立つと、料理をし始めた。

…不幸は一度では、終わらなかった。

…黒々としたあいつが出た。
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