年の差恋愛

年の差なんて関係ない

…告白しあったあの日、市来部長に抱き締められて、キスされて、幸せ一杯だった亜美だったが、あの日以来、市来部長と時間を共にする事ができなかった。

市来部長が、1週間、支社の方に出向していたのだ。

会社に居ても、市来部長の姿がない。帰りの道にも、隣の部屋にも、どこにも居ない。

「…市来部長に会いたいよー」

と、何度呟いたことか。

「…って言うか、何で日曜日なのに、休日出勤しなきゃいけないのよー」

…日曜日、市来部長が帰ってくる。1週間連絡一つ取らなかった亜美は、もう、こうなったら日曜日に家に押しかけてやろうなんて思いを巡らせていたのに、土曜日、総務部のお局様に、休日出勤を頼まれてしまい、亜美は仕方なく、一人出社して、頼まれた仕事をこなしていた。

「…市来部長に会いたいよー」

誰もいないのをいい事に、そんな事をまた呟いてみたが、虚しくなるだけ。

「…何で、連絡一つくれないの?」

今度は、愚痴がではじめた。

「…悪かったな。連絡一つしないで」
「…⁈」

真後ろから、そんな声が聞こえたかと思えば、亜美は後ろからぎゅっと抱き締められて、更に驚いた。

ゆっくりと上を向けば、不機嫌な顔の市来部長がいた。

「…市来部長」

その顔を見ただけで、泣きそうになる。
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